2020年3月18日 / 最終更新日時 : 2020年4月17日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 43.“青い惑星”をつくった短鎖ペプチド 第一部 総括~短鎖ペプチドの出現 ここでは、第1部で述べたことについて総括する。 私は、自然生成された短鎖ペプチドのすべてが複合体を形成するとは限らないと考えている。僅かな有効なペプチドだけが構成ブロックになり、複合体を構築する能力をもち、それらが離合集散を繰り返しながら、ペプチド同士が親和力と特異性をさらに高めながら会合し、安定な短鎖ペプチド複合体構造を構築する。さらに他の物質と結合す... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月23日 / 最終更新日時 : 2020年5月11日 Hiroshi Masuda 第2部 生命の誕生へ 1.これまでの総括とこれからの展望 第1部では、原始前生物環境でのタンパク性物質の出現と、それに伴う分子進化によって生命物質を含む有機物質の創生について述べた。この第2部は、それらの物質を基盤とした生命の誕生と生物進化について述べることにする。 生物進化を研究する方法 その前に、生物進化を研究する方法を考えてみたい。現在は化石や生物種間の遺伝子解析などを最大限駆使し、科学的な帰納的推理を展開した生物進化の方法論が成立している。しかし... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月27日 / 最終更新日時 : 2020年4月17日 Hiroshi Masuda 第2部 生命の誕生へ 2.短鎖ペプチド起源説 原始地球環境では、アミノ酸の直接熱重合によってミクロスフェアのような高分子のタンパク性物質が生成していたと考えられているが、アミノ酸が自然生成したのとは異なる原始地球環境下の海底の熱水噴火口で、短いペプチドが出現したことが有力視されている。私が考えたのは、この短鎖ペプチドが段階的な会合によって巨大化し、その過程で多様な機能を獲得し、天然タンパク質の原型が形成されることであった。しかもその場合、複... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月27日 / 最終更新日時 : 2020年4月17日 Hiroshi Masuda 第2部 生命の誕生へ 3.タンパク質とはなにか ここでは、異なる角度からタンパク質とは何かを考えてみたい。 現在、生物は火力など特殊な環境を除いて、物理学的に化学的に過酷な極限環境でも、一部はそれに適応しながら生息している。生物が新たな環境に進出する場合の先遣隊が、生物にとって最も重要な物質であるタンパク質である。新しい環境に適応できるように、自ら遺伝子を操作してアミノ酸組成や構造を僅かに変化させながら対応しているのである。 例えば、常温... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月27日 / 最終更新日時 : 2020年4月17日 Hiroshi Masuda 第2部 生命の誕生へ 4.始原袋、原始細胞、現生細胞の創生 次に、生命誕生の場である細胞について話を進めることにする。細胞の進化として、私なりに始原袋、原始細胞、現生細胞と三つに分けてみたが、それは私独自の考え方によるもので明確な基準ではい。 私は、開放的な原始前生物環境の後期に、外界を遮断する無数の半透膜の袋が出現したと考えている。この袋状のものが生命誕生の場になるもので、この生命誕生に使われた袋内物質は、すべて原始前生物環境で創生された“原始スープ... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月27日 / 最終更新日時 : 2020年4月17日 Hiroshi Masuda 第2部 生命の誕生へ 5.始原袋の構造 生命誕生における始原袋の役割 最初の始原袋がどのような膜構造であったかは定かではないが、少なくとも、半透膜の膜構造によって外部との直接の接触が制限され、外界の情報を膜を介して受け入れるという独自のはたらきをもっていたと考えられる。この膜構造は、一旦“原始スープ”の多様な物質を不均一に取り込み、次第に生命誕生に必要なものだけを袋の中に閉じ込め、必要でないものを膜から排除するという選択機能をも... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月27日 / 最終更新日時 : 2020年4月18日 Hiroshi Masuda 第2部 生命の誕生へ 6.細胞の原型としての始原袋(細胞の起源) 始原袋が担う運命的課題 開放系でつくられた“原始スープ”の中で、閉ざされた狭い半透膜の袋が無数に創生された。これら無数の袋が創生される際に、それぞれの袋内部に多様な物質が混在する“原始スープ”の一部が不均一に、狭い空間に閉じ込められ、この空間で物質間の衝突が繰り返され、ごく一部の袋の中で独自の化学反応が始まったと考えられる。このとき、半透膜の始原袋は“原始スープ”の低分子物質の出入りは可能で... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月27日 / 最終更新日時 : 2020年4月18日 Hiroshi Masuda 第2部 生命の誕生へ 7.始原袋内での物質代謝経路の創生の芽生え 生命誕生の場になった無数の閉ざされた狭い半透膜の袋が、原始前生物環境の“原始スープ”に存在していたタンパク性物質である短鎖ペプチド複合体とその他の雑多な物質を不均一に無作為に取り込むことにより、どのようにして生命活動の場に変貌したかについて考えてみよう。この袋が生命活動を起動するためにタンパク性物質が成し遂げたことは多方面にわたり、そのひとつが物質代謝と遺伝装置の進化だったことについては、先に述... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月27日 / 最終更新日時 : 2020年5月5日 Hiroshi Masuda 第2部 生命の誕生へ 8.物質の代謝経路のネットワーク 次に、原子袋が外界から取り込んだ担当であるブドウ糖から、生命の運営に必要な物質の代謝ネットワークがどのように創生したかを考えてみよう。 原始スープに浮遊したであろう連続反応系 原始前生物環境で新規の物質Aが特定の触媒性短鎖ペプチド複合体Xによって合成されたとすると、それに伴って物質Aが触媒性短鎖ペプチド複合体Yによって反応生成物質Bが生じる場合があるとすると、その物質Bが、さらに触媒性複合体Zに... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月27日 / 最終更新日時 : 2020年4月18日 Hiroshi Masuda 第2部 生命の誕生へ 9.原始袋における解糖系形成のもう一つの仮説 原始前生物環境の開放系で合成された物質を包み込みながら創生された半透膜の原始袋の中で、解糖系をいかに形成したかについて、少し余談を交えながら私のもう一つの仮説を述べてみたい。 現存する解糖系に関与する酵素タンパクの構造をみると、いずれも共通にβ-バーレル(barrel)構造をもち、その外側にさらにα-へリックス (helix)が取り囲むα/β-バーレル(barrel)の超二次構造になっているこ... 続きを読むにほんブログ村