2020年3月18日 / 最終更新日時 : 2020年4月13日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 37.タンパク性アダプターが関与する短鎖ペプチド構成体の複製仮説 触媒性短鎖ペプチド複合体の構成体認識部位の構成体が解離した後の窪みに、アミノ酸単体がほとんど結合しない、あるいは他のアミノ酸単体と競合し識別できないほど特異性が低い場合、同じ側鎖をもつアミノ酸単体の結合は不確実で、正確に結合できなければ複製は不能となる。ここではこの場合を考慮し、別の鋳型形成の仕組みを考えてみる。 転移RNAアダプター 私はその解決策のヒントとして、タンパク質生合成に介在する転移... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月18日 / 最終更新日時 : 2020年4月17日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 38.タンパク性アダプターによる複製仮説のまとめ 鋳型的多短鎖ペプチド複合体系の形成 繰り返し述べると、アミノ酸配列の情報をもっている短鎖ペプチド構成体自体が伝令RNAの役割を持ち、構成体の個々のアミノ酸残基がコドンに相当し、このコドンに相当する構成体の個々のアミノ酸残基を認識する触媒性短鎖ペプチド複合体側の認識部位を構成する複数のアミノ酸残基を、アンチコドンに相当するものと考えた。このアンチコドンをもつ触媒性短鎖ペプチド複合体とは異なる... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月18日 / 最終更新日時 : 2020年4月17日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 39.触媒性短鎖ペプチド複合体の認識部位のグループ単位という概念 上述したなかで、短鎖ペプチド構成体の個々のアミノ酸残基に対する触媒性短鎖ペプチド複合体の認識部位のアミノ酸残基構造は、転移RNAアダプターのアンチコドンに相当するという考えを述べたが、それをもう少し詳細に述べてみたい。 複数のアミノ酸の関与 私がコドンと考えた短鎖ペプチド構成体の個々のアミノ酸残基と結合する構成体認識部位の構造をみると、コドン1個のアミノ酸残基に対して、構成体認識部位のアミノ酸残... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月18日 / 最終更新日時 : 2020年4月17日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 40.コドンを持たないアミノ酸の意義と二つの系の共通点 コドンを持たないアミノ酸 なお、現在でも依然として細菌がNRPs系で特殊なペプチド性抗生物質を複製しているのは、D-アミノ酸やオルニチンのようなコドンをもたないアミノ酸が含まれており、リボソーム介在系が使用できないからであると考えられる。このことからも、原始前生物環境で、最初はD-アミノ酸やL-オルニチンのようなアミノ酸類やその他の成分をペプチドに取り込むことが可能なNRPs系が創生され、はるか... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月18日 / 最終更新日時 : 2020年4月17日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 41.鋳型的多短鎖ペプチド複合体の遺伝装置とDNA 原始前生物環境では、多くの短鎖ペプチド複合体が共同して短鎖ペプチド構成体を複製する能力を獲得することで、安定的に供給できる体制が確立したと考えられる。さらに“個別短鎖ペプチド複合体獲得装置(仮称)”を創生することにより、構成体から多種多様な機能をもつ個別的短鎖ペプチド複合体を、自律的に設計できるようになった。個別的ペプチド複合体の機能の中で触媒能力の獲得はとりわけ重要で、これによって原始地球の表... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月18日 / 最終更新日時 : 2020年4月17日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 42.アミノアシルtRNA合成酵素様複合体 短鎖ペプチドやその複合体は、本性として他の物質と化学的に結合したり、さらに物質の構造に自分のかたちを自律的に適応させて相補的に結合するという、稀有な擬態思想を持っていた。短鎖ペプチド鎖構成体が複製するなかで最も重要な基盤となるものは、特定のアミノ酸単体をそれぞれの短鎖ペプチド複合体に特異的に結合させる、アミノアシルtRNA合成酵素様複合体であると考えている。また、このような触媒性短鎖ペプチド複合... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月18日 / 最終更新日時 : 2020年4月17日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 43.“青い惑星”をつくった短鎖ペプチド 第一部 総括~短鎖ペプチドの出現 ここでは、第1部で述べたことについて総括する。 私は、自然生成された短鎖ペプチドのすべてが複合体を形成するとは限らないと考えている。僅かな有効なペプチドだけが構成ブロックになり、複合体を構築する能力をもち、それらが離合集散を繰り返しながら、ペプチド同士が親和力と特異性をさらに高めながら会合し、安定な短鎖ペプチド複合体構造を構築する。さらに他の物質と結合す... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月23日 / 最終更新日時 : 2020年5月11日 Hiroshi Masuda 第2部 生命の誕生へ 1.これまでの総括とこれからの展望 第1部では、原始前生物環境でのタンパク性物質の出現と、それに伴う分子進化によって生命物質を含む有機物質の創生について述べた。この第2部は、それらの物質を基盤とした生命の誕生と生物進化について述べることにする。 生物進化を研究する方法 その前に、生物進化を研究する方法を考えてみたい。現在は化石や生物種間の遺伝子解析などを最大限駆使し、科学的な帰納的推理を展開した生物進化の方法論が成立している。しかし... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月27日 / 最終更新日時 : 2020年4月17日 Hiroshi Masuda 第2部 生命の誕生へ 2.短鎖ペプチド起源説 原始地球環境では、アミノ酸の直接熱重合によってミクロスフェアのような高分子のタンパク性物質が生成していたと考えられているが、アミノ酸が自然生成したのとは異なる原始地球環境下の海底の熱水噴火口で、短いペプチドが出現したことが有力視されている。私が考えたのは、この短鎖ペプチドが段階的な会合によって巨大化し、その過程で多様な機能を獲得し、天然タンパク質の原型が形成されることであった。しかもその場合、複... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月27日 / 最終更新日時 : 2020年4月17日 Hiroshi Masuda 第2部 生命の誕生へ 3.タンパク質とはなにか ここでは、異なる角度からタンパク質とは何かを考えてみたい。 現在、生物は火力など特殊な環境を除いて、物理学的に化学的に過酷な極限環境でも、一部はそれに適応しながら生息している。生物が新たな環境に進出する場合の先遣隊が、生物にとって最も重要な物質であるタンパク質である。新しい環境に適応できるように、自ら遺伝子を操作してアミノ酸組成や構造を僅かに変化させながら対応しているのである。 例えば、常温... 続きを読むにほんブログ村