2020年3月18日 / 最終更新日時 : 2020年4月9日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 27.特定物質との接触で固有の構造をとるループ構造 無秩序構造(ループ構造) 酵素タンパクの中には、基質がないときには変性状態の無秩序構造(disordered structure)で存在し、基質分子に接触すると折り畳みがおこり、固有の立体構造になるものが時々見出される。このような酵素が現在でも存在していることは、原始前生物環境では短鎖ペプチド複合体の中に、物質がないときは短鎖ペプチドから解離した状態で存在し、特定の物質と接触するとただちに固有の... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月18日 / 最終更新日時 : 2020年4月9日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 28.シトクロムP-450 結合特異性を獲得する過程 ここではタンパク質の分子進化について、思いついたままに述べることにする。繰り返すが、短鎖ペプチドがある物質と結合する場合、最初は多数の結合特異性の低い短鎖ペプチドが結合するが、次第にこれらの中から親和力の高いものが選ばれ、数少ないものに収束していったと考えられる。しかし、この化学的な結合だけでは唯一の物質と結合するという最も高い結合特異性の獲得は困難であり、化学的に適合... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月18日 / 最終更新日時 : 2020年4月9日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 29.タンパク性物質(短鎖ペプチド構成体)の複製を考える タンパク質の分子進化の痕跡 ここからはいよいよ、短鎖ペプチド構成体の複製について述べてみたい。誰でもが考えているように、生命という自動制御組織体を支えている物質は基本的に稀有な性質をもち、まだ底知れない謎を秘めている。私はその物質が、多様なタンパク質であると確信し、その起源を探求することが生命の誕生を知る最も有力な手がかりになると考えている。 多くの研究者の中には、原始前生物環境でタンパク質の起... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月18日 / 最終更新日時 : 2020年4月9日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 30.「複製」の定義 ここまで、原始前生物環境において、タンパク質の原型である短鎖ペプチド複合体が短鎖ペプチド構成体の自律的な会合によって形成されること、短鎖ペプチド構成体が形成されれば短鎖ペプチド複合体が自動的に形成されるということについて説明してきた。さらに短鎖ペプチド複合体の複製についての私論を続けたい。 複製とはDNAだけによるものか? はじめに、「複製」という言葉であるが、生物系の辞典で調べると必ずその説明... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月18日 / 最終更新日時 : 2020年4月9日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 31.池原の「疑似複製」説 原始前生物環境の初期段階から、短鎖ペプチド複合体の機能が短いペプチドをどのように複製したかについて、私なりの考えを述べてみたい。タンパク性物質の複製に関する記述の代表的なものとしては、池原の先駆的な「疑似複製」説がある。これは私も共鳴する部分があり、まずはそれについての私見を述べておく。 「複製」とは 先に述べたように、短鎖ペプチドが複合体を形成する際、異なるアミノ酸配列でも類似した局部... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月18日 / 最終更新日時 : 2020年5月2日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 32.短鎖ペプチド複合体形成について振り返る 原始前生物環境の初期の頃は、このような「疑似複製」やそれに類するものに依存すればよかったが、次第に短鎖ペプチド複合体の構造・機能分化による多様化が進み、固有の複合体を模してつくらなければならないという、複製の必要性が生じたことも考えられる。私は、原始前生物環境の短鎖ペプチド複合体は二段階で形成されたと考えている。 第一段階 第一段階は、短鎖ペプチドの原始前生物環境での自然生成である。現在の研究で... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月18日 / 最終更新日時 : 2020年4月9日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 33.短鎖ペプチド複合体と天然タンパク質 短鎖ペプチド複合体の複製の第一段階は、すべての短鎖ペプチド複合体形成に共通してもちいられる、一定の多様な短鎖ペプチド構成体の生成と蓄積であった。第二段階は、それらの短鎖ペプチド構成体の会合による配置が極小エネルギー則に従って進行し、自律的に固有の立体構造をもつ複合体構造を形成するための、「個別短鎖ペプチド複合体獲得装置(仮称)」の存在にあると考えられる。この形成過程は、天然タンパク質の構造形成に... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月18日 / 最終更新日時 : 2020年4月9日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 34.短鎖ペプチド構成体の複製と鋳型的多酵素複合体系機構 上述したように、原始前生物環境の初期の頃には、雑多に自然生成された短鎖ペプチドが次第に最小限の短鎖ペプチド構成体に収束されたと考えられる。短鎖ペプチド複合体は短鎖ペプチド構成体が特異的に複製されれば、立体構造は自動的に複製されることから、この構成体の種類が最小限度になったことは、次に起こる短鎖ペプチドの複製にとって経済性からみて重要なことであったと私は考えている。この最小限に収束され... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月18日 / 最終更新日時 : 2020年4月10日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 35.原始前生物環境での短鎖ペプチド構成体の複製条件 遺伝子が存在しない原始前生物環境下での複製 しかし、ここで重大な疑問が生じる。現存のNRPs系を構成する一連のタンパク質は、遺伝子の情報に基づいてつくられていることである。即ち、鋳型的多酵素複合体系にある開始もしくは伸長モジュールなどに鋳型として結合するアミノ酸単体は、遺伝子の情報に基づいて、複製対象のペプチド性抗生物質などのアミノ酸配列順になるように結合する。NRPs系を構成する全てのタン... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月18日 / 最終更新日時 : 2020年4月11日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 36.鋳型的多短鎖ペプチド複合体系の創生 触媒性短鎖ペプチド複合体の存在 原始前生物環境で、鋳型的多短鎖ペプチド複合体系を創生するための最初の課題は、短鎖ペプチド構成体のアミノ酸配列にあるアミノ酸残基を認識する物質の存在を確認することである。その認識した物質の結合部位に同じ側鎖をもつアミノ酸単体が並べば、原理的には鋳型的多短鎖ペプチド複合体系が成立することになる。そのため、最初に考えるべきことは、短鎖ペプチド構成体と結合して、そのア... 続きを読むにほんブログ村