2020年3月27日 / 最終更新日時 : 2020年5月6日 Hiroshi Masuda 第2部 生命の誕生へ 14.原始細胞での新規タンパク質の創生 新規タンパク質の創生 現在でも生物の進化の過程で、過去に全く存在しなかった新しい機能をもったタンパク質を創生することは、細胞にとって大きなイベントであることは間違いない。これまでに、細胞の新規タンパク質の創生には、一般に考えられている有力な説があるが、私はそれとは別の説もあるのではないかと思っているので、ここではそれについて述べたい。 細胞の新規タンパク質の創生について、従来から考... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月27日 / 最終更新日時 : 2020年4月18日 Hiroshi Masuda 第2部 生命の誕生へ 15.細胞での新規タンパク質の創生はどのように行われたか これまで、私は開放系の原始前生物環境で多様な新規の短鎖ペプチド複合体の創生について述べたが、現在の遺伝子管理体制下にある細胞もまた、新しい原始タンパク質が創生される機構で、この基本的な創生原理を受け継いでいると考えている。 繰り返すが、原始前生物環境での新しい短鎖ペプチド複合体は、厖大な創生経験則をもつ”個別短鎖ペプチド複合体獲得装置“で創生されたと考える。例えば、物質をつくる酵素タンパクの創生で... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月27日 / 最終更新日時 : 2020年4月19日 Hiroshi Masuda 第2部 生命の誕生へ 16.タンパク質の一斉変異の必然性 タンパク質の改変に関する定説への疑問 私は生物が過酷な環境へ進出する場合、ある特定の機能性タンパク質が改変すれば、新しい環境に適応できたとする考えに疑問を抱く。この考えでは、もしタンパク質の一つでもアミノ酸残基の変異が起こらないとか、適応が著しく遅れるようなことが生じた場合、生物自体がその環境で生存できなくなることも大いにあり得ると予想されるからである。それは生物の進化の上でも大きな支障と... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月27日 / 最終更新日時 : 2020年4月19日 Hiroshi Masuda 第2部 生命の誕生へ 17.タンパク質に関する諸考察 本題からやや離れるが、ここではタンパク質に関して、今現在私が考えている二つのことについて書きとめておきたい。 タンパク質の構築原理 まず、一つ目。タンパク質は生物進化に伴って、これまでの自らの構築原理を見直し、独自の原理を獲得したのだろうか。私の考えは、否である。私は、タンパク質は原始前生物環境での短鎖ペプチドの出現から現存細胞に至るまで、同じ構築原理に基づいて進化を続けていると考えており... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月27日 / 最終更新日時 : 2020年4月19日 Hiroshi Masuda 第2部 生命の誕生へ 18.タンパク質の階層的分子進化と細胞の自動制御組織体 次に、細胞の自動制御組織体はどのような構築原理で組み立てられたかについて、私の考えについて述べたい。短鎖ペプチド複合体は、原始前生物環境の末期か始原袋が形成された初期のいずれかに、短鎖ペプチド複合体を構成する短鎖ペプチド構成体がペプチド結合で連結し、一本の長い鎖に進化した可能性については、先に述べたとおりである。また、タンパク質構造は短鎖ペプチドの集積体で、これがタンパク質の構造を複雑化している... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月27日 / 最終更新日時 : 2020年4月19日 Hiroshi Masuda 第2部 生命の誕生へ 19.原始細胞の進化と生命誕生 私は先に、原始前生物環境の始原袋に関し、不完全ではあるが原始的な物質代謝やエネルギー代謝の創生と、炭素源であるブドウ糖から生命物質が生産できる物質代謝ネットワークの存在の可能性を指摘した。ただし、その代謝過程では中間代謝物が異常に蓄積されたり欠乏したりするなど、不均一で無秩序な状態が生じやすかったため、それを修正し恒常的・安定的に一定の代謝物を維持できる、ロステリック効果や触媒性タンパク質のリン... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月27日 / 最終更新日時 : 2020年4月19日 Hiroshi Masuda 第2部 生命の誕生へ 20.複合構成体の組織化と断片化思想 本書ではこれまでに、「断片化思想」という言葉を何度か使ってきたが、ここで改めてその意味について述べることにする。 「断片化思想」の語源 第1部で取り上げた断片化思想では、始原袋から原始細胞の進化の過程で、物質・エネルギー代謝系と遺伝装置の創生、および細胞小器官や顆粒などの細胞複合構造体の構築に、これが深く関わってきたことについて述べた。この断片化思想は私の造語で、これを思いついたのは、抗体... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月27日 / 最終更新日時 : 2020年4月19日 Hiroshi Masuda 第2部 生命の誕生へ 21.分子進化の中立説 定説への疑問 タンパク質に関心をもつ立場として、分子進化の中立説について私の考えを一言述べてみたい。タンパク質の分子進化は、原始前生物環境で自然選択説に依拠して進行したと考えている。その後、異種間の生物でのタンパク質は、その分子系統樹をさかのぼっていくと、やがて構造や機能に必須なアミノ酸残基を含む祖先タンパク質にたどりつくといわれている。しかし、この祖先タンパク質が必須のアミノ酸残基をどの... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月27日 / 最終更新日時 : 2020年4月19日 Hiroshi Masuda 第2部 生命の誕生へ 22.分子進化の中立と遺伝子の創造性 「百創造ゼロ盗作」から「一創造百盗作」時代へ 原始前生物環境の開放系は、触媒性短鎖ペプチド鎖複合体が何の制限もなく自由に機能したと考えられ、創造性に富む「百創造ゼロ盗作」の百花繚乱の夢のような時代であり、これによって“原始スープ”を構成する物質の種類が増加していったと考えられる。生命誕生の直前には、短鎖ペプチド複合体は現存するタンパク質と構造的、また機能的に類似した原始タンパク質と呼べる段... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月27日 / 最終更新日時 : 2020年4月19日 Hiroshi Masuda 第2部 生命の誕生へ 23.生命誕生の鍵を握る「タンパク質ワールド」仮説 タンパク質の起源 私は、タンパク性物質がRNAやDNAのような情報高分子よりもはるかに早く、この地球上に出現したと考えている一人である。その根拠は、分子進化で各種の物質がそれぞれ出現するには段階があること、合成が容易なものほど早く出現し、その後、その物質を基盤にして他の物質も巻き込みながら、徐々に複雑な物質が出現するという段階論を支持するからある。その原理を、生命の起源に大きな影響をあたえる... 続きを読むにほんブログ村