20.折り畳み機構での極小自由エネルギー原理

天然タンパク質はエネルギーモデルによって、極小の自由エネルギーをもつ構造体として定義されている。この天然タンパク質の折り畳み機構を、極小自由エネルギー則の面から述べておこう。

天然タンパク質の折り畳みは、一次構造の折り畳みが最初から定まった経路を経て進行するのではなく、折り畳み開始時には多数の経路が存在している可能性があり、自由エネルギーが極小の状態を維持しながら折り畳みが進行し、しだいに可能性のある経路の数を減少させながら、最終的には唯一の固有の天然タンパク質構造に収束するとみられる。そしてここから、タンパク質フォールデイングファンネル(protein folding funnel)という新しい概念が生まれた。即ち、折り畳みの初期の段階の構造は完全な変性状態で、一次構造はいろいろな種類の無秩序構造 (disordered structure)の状態であるが、折り畳みが開始されると、まず二次構造が形成され、さらに超二次構造やドメインなどの複雑な構造が形成され、その経路はしだいに限定されたものになって、ついには自由エネルギーが極小の唯一の固有の立体構造をもつ天然タンパク質に到達するのである。

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