2020年5月11日 / 最終更新日時 : 2020年5月12日 Hiroshi Masuda 科学の広場 疑似複製について(池原健二先生より) 本稿で、随所に引用させていただいている、タンパク質ワールドでは、既に先陣を切られております『GADV仮説 生命起源を問い直す』の著者、池原健二先生より、本稿「第1章 2.池原のタンパク質の「疑似複製」仮説」へのご回答をいただきました。 ・しかし、私にはこのタンパク質仮説が基本的にタンパク質が生命誕生を推進した唯一の物質であることは納得できるとしても、若干の疑問点がないわけではない。私の疑問点を列記... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月14日 / 最終更新日時 : 2020年5月11日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 2.池原の[GADV]タンパク質の「疑似複製」仮説 タンパク質」仮説によれば、そのヒントになったのは遺伝暗号の関連で、現存する生物の遺伝子のGC含量が大きく変化してもタンパク質構造があまり変化しないという事実から、GNC遺伝暗号でコードされる4種のアミノ酸であるGly, Ala, Asp, Valに注目したという。これらのアミノ酸はいずれも簡単な構造をもち、原始地球環境で自然生成されると見なされているものばかりである。さらに、この4種のアミノ酸が... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月18日 / 最終更新日時 : 2020年4月8日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 18.“個別短鎖ペプチド複合体獲得装置(仮称)” 獲得装置の創成 短鎖ペプチド複合体構造が一旦形成され有利な機能が獲得されると、それを絶えず再生産できるような機構がどうしても必要になってくる。私は、多様でそれぞれ固有の構造と機能をもつ短鎖ペプチド複合体が、試行錯誤の末に創生された場合、どの種類の短鎖ペプチド構成体がどのような配置をしたらどのような構造になり、それがどのような機能をもつかという独自の情報を、自らの構造の中に記憶していたに違いないと... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月18日 / 最終更新日時 : 2020年4月9日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 21.エネルギー曲面 折り畳み過程でのエネルギー局面 ここまでタンパク質フォルデイングファンネルの概略について述べたが、折り畳み過程でのエネルギー曲面(energy landscape)は最初の構造が無秩序のため自由エネルギーの極小値が大きく、エントロピーも大きいが、構造が折り畳まれるに従い自由エネルギーが低下し、構造が秩序だってくることでエントロピーも小さくなる。ついには折り畳みが完結すると自由エネルギーもエントロ... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月18日 / 最終更新日時 : 2020年4月9日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 29.タンパク性物質(短鎖ペプチド構成体)の複製を考える タンパク質の分子進化の痕跡 ここからはいよいよ、短鎖ペプチド構成体の複製について述べてみたい。誰でもが考えているように、生命という自動制御組織体を支えている物質は基本的に稀有な性質をもち、まだ底知れない謎を秘めている。私はその物質が、多様なタンパク質であると確信し、その起源を探求することが生命の誕生を知る最も有力な手がかりになると考えている。 多くの研究者の中には、原始前生物環境でタンパク質の起... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月18日 / 最終更新日時 : 2020年4月9日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 30.「複製」の定義 ここまで、原始前生物環境において、タンパク質の原型である短鎖ペプチド複合体が短鎖ペプチド構成体の自律的な会合によって形成されること、短鎖ペプチド構成体が形成されれば短鎖ペプチド複合体が自動的に形成されるということについて説明してきた。さらに短鎖ペプチド複合体の複製についての私論を続けたい。 複製とはDNAだけによるものか? はじめに、「複製」という言葉であるが、生物系の辞典で調べると必ずその説明... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月18日 / 最終更新日時 : 2020年4月9日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 33.短鎖ペプチド複合体と天然タンパク質 短鎖ペプチド複合体の複製の第一段階は、すべての短鎖ペプチド複合体形成に共通してもちいられる、一定の多様な短鎖ペプチド構成体の生成と蓄積であった。第二段階は、それらの短鎖ペプチド構成体の会合による配置が極小エネルギー則に従って進行し、自律的に固有の立体構造をもつ複合体構造を形成するための、「個別短鎖ペプチド複合体獲得装置(仮称)」の存在にあると考えられる。この形成過程は、天然タンパク質の構造形成に... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月18日 / 最終更新日時 : 2020年4月9日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 34.短鎖ペプチド構成体の複製と鋳型的多酵素複合体系機構 上述したように、原始前生物環境の初期の頃には、雑多に自然生成された短鎖ペプチドが次第に最小限の短鎖ペプチド構成体に収束されたと考えられる。短鎖ペプチド複合体は短鎖ペプチド構成体が特異的に複製されれば、立体構造は自動的に複製されることから、この構成体の種類が最小限度になったことは、次に起こる短鎖ペプチドの複製にとって経済性からみて重要なことであったと私は考えている。この最小限に収束され... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月18日 / 最終更新日時 : 2020年4月10日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 35.原始前生物環境での短鎖ペプチド構成体の複製条件 遺伝子が存在しない原始前生物環境下での複製 しかし、ここで重大な疑問が生じる。現存のNRPs系を構成する一連のタンパク質は、遺伝子の情報に基づいてつくられていることである。即ち、鋳型的多酵素複合体系にある開始もしくは伸長モジュールなどに鋳型として結合するアミノ酸単体は、遺伝子の情報に基づいて、複製対象のペプチド性抗生物質などのアミノ酸配列順になるように結合する。NRPs系を構成する全てのタン... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月18日 / 最終更新日時 : 2020年4月17日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 38.タンパク性アダプターによる複製仮説のまとめ 鋳型的多短鎖ペプチド複合体系の形成 繰り返し述べると、アミノ酸配列の情報をもっている短鎖ペプチド構成体自体が伝令RNAの役割を持ち、構成体の個々のアミノ酸残基がコドンに相当し、このコドンに相当する構成体の個々のアミノ酸残基を認識する触媒性短鎖ペプチド複合体側の認識部位を構成する複数のアミノ酸残基を、アンチコドンに相当するものと考えた。このアンチコドンをもつ触媒性短鎖ペプチド複合体とは異なる... 続きを読むにほんブログ村