言語から見たタンパク質構造

生成文法とタンパク質構造の類似点

人にとって、言語とは生来のものである。チョムスキーの考えたこの生成文法の概念における「言語獲得装置」の原理は、タンパク質における「立体構造構築」の原理と共通しているのではないか。いわば、タンパク質構造の構築原理に基づいて言語獲得装置機構を創造したのではないかと思われる。すなわち、言語獲得装置はタンパク質構造構築理論が、その原型となっているのである。生成文法理論には、「普遍文法」と「個別文法」の二階層がある。普遍文法はすべての言語に共通の文法であり、そこから各種の個別文法に派生していく。普遍文法には、各種言語に共通した文法的な規則があり、最小限度に制限されたモジュールから成立する有限なものである。タンパク質構造の構築原理から見ると、普遍文法に基づく個別文法の多様化は必然であり、それは生物進化における多様化と共通している。

 

それぞれの構造分析

言語の多様性とタンパク質構造の多様性は異なる性質を持つ。多様性とは生物においては形態学的多様性である。言語にしても日本語、英語、中国語その他6500種はあるといわれている。タンパク質構造は系統種間で基本構造が変化しているだろうか。いわゆる、phenotypeに差異があるだろうか。種間で独自の構造があるだろうか。あったとしても、それは方言のようなものにすぎない。タンパク質構造には階層性がある。基本的には、構成単位は20種のアミノ酸である。これが、言語でいうアルファベットだ。単語はそこから組み立てられている。その単語にあたるものが二次構造である、α-helix,β-sheetおよびdisordered structure等である。これらが、文法規則に従って多くの句が成立するのである。この句がタンパク質構造の基本構造やドメインに相当する。それらから多様なタンパク質構造が形成されるのだ。

生成文法が成立する条件とは何か。言葉の本質は何か。つまり、「言語を構成する最小の要素は何か」ということである。そのような構成要素として、まず言語の形式、つまり文法がある。語順の規則性が本質的である。次に構成要素として、言語の内容、つまり意味がある。「文法と意味」、即ち「形式と内容」である。二次構造がどのように組み立てられるかに意味があるかということだ。α-helix、β-sheetおよびdisordered structureのアミノ酸組成、長さおよび折れる角度の問題——それらの相互作用には法則性がある。これらを骨子にして形式と内容について考えてゆきたい。生成文法において、文法的には正しいが意味がなさない場合がある。それは、タンパク質構造でいえばどの部分に相当するのか。

還元論の見方を「モジュール」だとすれば、全体論は「システム」ということになる。

言語は複合した情報処理から成り立っており、言語のシステム自体に内部モジュールがあると考えられる。

タンパク質構造の「文法と意味」「形式内容」とは何か。それは構造と機能が成立することである。構造を生成するアミノ酸配列情報の自由エネルギー最小化の埋め込み(記憶)における最終段階であり、機能の獲得段階である。

言語研究における生成文法研究は言語知識、言語獲得および言語使用について行われるべきである。

生成文法

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