24.免疫グロブリン・スーパーファミリー

 天然タンパク質構造は複雑系であるが、中には一部が共通した構造で構成されている一群のタンパク質がある。例えば、免疫グロブリンドメインには構造の一部が特徴的な二つのシステインが、数十個のアミノ酸をはさんでお互いに結合して生じる-S―S-ループ構造をもつ領域(免疫グロブリンドメイン)が存在する。このループドメインの数が異なることで、免疫に関係する受容体や接着分子など多様な分子が存在することになる。これは免疫グロブリン・スーパーファミリー骨格構造とよばれている。私はこの免疫グロブリンドメインの起源は、原始前生物環境に存在していた一つの原始的な-S-S-ループを形成していた短鎖ペプチドが”祖先構造“(これも私の造語である)となり、それを基盤にして、次々とこの祖先構造が連結し、ループ構造を増やしながら多様な機能を創生し、全体的に多くの一つの複雑なスーパーファミリーを形成していったと考えている。このような’祖先構造‘が連結し多様なスーパーファミリーを構築することも、一種の”分断思想”から派生したもので、短鎖ペプチド複合体形成もループ構造によって複合体が大きくなったと考えている。短鎖ペプチド複合体は、このように祖先構造を保存するという”保守性“を基盤にして、その祖先構造の数を増やすことにより、多様な機能を創生するという”革新性“を加味しながら調和のとれた分子進化を果たしたものと考えている

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です