2020年7月7日 / 最終更新日時 : 2020年7月7日 Hiroshi Masuda 科学の広場 言語から見たタンパク質構造 生成文法とタンパク質構造の類似点 人にとって、言語とは生来のものである。チョムスキーの考えたこの生成文法の概念における「言語獲得装置」の原理は、タンパク質における「立体構造構築」の原理と共通しているのではないか。いわば、タンパク質構造の構築原理に基づいて言語獲得装置機構を創造したのではないかと思われる。すなわち、言語獲得装置はタンパク質構造構築理論が、その原型となっているのである。生成文法理論には... 続きを読むにほんブログ村
2020年6月23日 / 最終更新日時 : 2020年6月23日 Hiroshi Masuda 科学の広場 逆翻訳系を考察する Amino acid-codon systemの起源 これを、短鎖ペプチド鎖からの逆翻訳系で眺めた場合はどうなるか DNAの二重らせん構造を発見した、Francis Harry Compton Crickは、タンパク質のアミノ酸配列に責任を持つコドンが少しでも変化するようなことになると、タンパク質の機能が破壊され、タンパク質の存在様式が失われてしまい、その意義を呈しないことになると述べている。その... 続きを読むにほんブログ村
2020年6月11日 / 最終更新日時 : 2020年6月11日 Hiroshi Masuda 科学の広場 タンパク質構造の構成単位について タンパク質構造を構成するのは、個々のアミノ酸残基(一次元構造)ではなく、数個のアミノ酸残基の構造的集合体(三次元構造)である。 これは、Anfinsen dogmaの終焉を意味する。タンパク質構造を決定するのは、その一次構造では決してない。すなわち、構造を決定しているのは遺伝子の塩基配列ではなく、遺伝子がタンパク質構造決定の必須条件ではないということである。遺伝子は、タンパク質の基本的情報・一次構... 続きを読むにほんブログ村
2020年5月11日 / 最終更新日時 : 2020年5月12日 Hiroshi Masuda 科学の広場 疑似複製について(池原健二先生より) 本稿で、随所に引用させていただいている、タンパク質ワールドでは、既に先陣を切られております『GADV仮説 生命起源を問い直す』の著者、池原健二先生より、本稿「第1章 2.池原のタンパク質の「疑似複製」仮説」へのご回答をいただきました。 ・しかし、私にはこのタンパク質仮説が基本的にタンパク質が生命誕生を推進した唯一の物質であることは納得できるとしても、若干の疑問点がないわけではない。私の疑問点を列記... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月14日 / 最終更新日時 : 2020年5月11日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 1.「RNAワールド」仮説に対する疑念 「RNAワールド」仮説に対する疑念 「生命の起源」に関して私の「タンパク質ワールド」仮説を述べてみたい。これまでに「生命の起源」に関する諸説が数多く発表されてきているが、現在のその到達点はなんとなく「RNAワールド」仮説であるかのような印象を受ける。「RNA ワールド」仮説の発端になったのは、何と言っても1980年代のチェックらの研究によるRNAが生体触媒機能をもっているという衝撃的な発見であっ... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月14日 / 最終更新日時 : 2020年5月11日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 2.池原の[GADV]タンパク質の「疑似複製」仮説 タンパク質」仮説によれば、そのヒントになったのは遺伝暗号の関連で、現存する生物の遺伝子のGC含量が大きく変化してもタンパク質構造があまり変化しないという事実から、GNC遺伝暗号でコードされる4種のアミノ酸であるGly, Ala, Asp, Valに注目したという。これらのアミノ酸はいずれも簡単な構造をもち、原始地球環境で自然生成されると見なされているものばかりである。さらに、この4種のアミノ酸が... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月15日 / 最終更新日時 : 2020年5月20日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 3.原始タンパク様物質の合成 「タンパク質ワールド」仮説を唱える立場から、まずは原始地球環境でタンパク質の創生についての概要を述べておきたい。原始タンパク様物質の合成には、大別すると「直接的高分子合成説」と「ペプチドの段階的合成説」の二通りが存在したと推定する。 原子タンパク様物質を創生する2つの合成説 「直接的高分子合成説」は、アミノ酸混合液を加熱重縮合反応することで直接ミクロスフェアのような高分子のタンパク様物質が一段階で... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月15日 / 最終更新日時 : 2020年4月7日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 4.原始地球環境での有機物、特にアミノ酸類の出現 「原子前生物環境」の定義 はじめに、本書に頻繁に登場する「原始前生物環境」という言葉は、大雑把に原始地球の自然環境条件下で有機物質が出現してから生命誕生に至る時間経過を意味するものである。地球誕生から原始前生物環境を経て生命誕生までの経過に要した時間は、数億から十数億年だといわれている。この原始前生物環境の初期に多様な有機物質がどのように生成されたかについては、ユリーとミラーの有名な原始地球の大気... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月17日 / 最終更新日時 : 2020年4月26日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 5.短鎖ペプチドの出現 先に述べたように、原始地球環境でアミノ酸類が多くの有機物質とともに存在し、海洋中に豊富に蓄積されていたことは、原始地球環境を仮想モデルにしたミラーの放電実験に基づく自然生成や、惑星空間から飛来するアミノ酸類が存在する隕石の研究などで支持されている。しかし、大切なことは、ミラーの実験や隕石にはアミノ酸が重合してできるペプチド類が痕跡程度も見いだされていないことである。これは、ペプチド類が原始地球環境... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月17日 / 最終更新日時 : 2020年5月11日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 6.短鎖ペプチド鎖の構造 原始地球を一変させ、奇跡的に生命を誕生させる原動力となったと考えられる短鎖ペプチドが「動」であるという根拠を、その分子構造から説明したい。 最初に、短鎖ペプチドの結合様式であるペプチド結合について少し述べておく。ペプチド結合は、アミノ酸のカルボキシル基と次のアミノ基が脱水縮合して生じたアミド共有結合という部分的に二重結合性を帯び、平面構造という独特の結合様式である。この平面構造は比較的堅い構造をも... 続きを読むにほんブログ村