2020年3月17日 / 最終更新日時 : 2020年4月26日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 5.短鎖ペプチドの出現 先に述べたように、原始地球環境でアミノ酸類が多くの有機物質とともに存在し、海洋中に豊富に蓄積されていたことは、原始地球環境を仮想モデルにしたミラーの放電実験に基づく自然生成や、惑星空間から飛来するアミノ酸類が存在する隕石の研究などで支持されている。しかし、大切なことは、ミラーの実験や隕石にはアミノ酸が重合してできるペプチド類が痕跡程度も見いだされていないことである。これは、ペプチド類が原始地球環境... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月17日 / 最終更新日時 : 2020年5月11日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 6.短鎖ペプチド鎖の構造 原始地球を一変させ、奇跡的に生命を誕生させる原動力となったと考えられる短鎖ペプチドが「動」であるという根拠を、その分子構造から説明したい。 最初に、短鎖ペプチドの結合様式であるペプチド結合について少し述べておく。ペプチド結合は、アミノ酸のカルボキシル基と次のアミノ基が脱水縮合して生じたアミド共有結合という部分的に二重結合性を帯び、平面構造という独特の結合様式である。この平面構造は比較的堅い構造をも... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月18日 / 最終更新日時 : 2020年5月11日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 16.短鎖ペプチドの二段階分子進化 次に、短鎖ペプチドの分子進化は二段階にわたっているという私の考えについて、述べてみたい。短鎖ペプチド複合体の複製については後述するが、その際、自然は経済的観点から短鎖ペプチドを最小限の種類に制限する必要があったと考えている。そのため、同一のペプチドであっても、その遷移状態の複数の揺らぎ構造さえ利用してしまうほどの徹底ぶりが想像できる。 進化の過程 第一段階の短鎖ペプチド生成は、原始地球の自然環境... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月18日 / 最終更新日時 : 2020年5月11日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 17.郷通子のモジュール説 ”生命の起源”とモジュール説 私の「タンパク質ワールド」仮説―「ペプチドの段階的合成説」に基づいて短鎖ペプチドが天然タンパク質の原型であるという発想のきっかけになったのは、郷通子のヘモグロビン分子構築に関するモジュール説であった。私が帯広畜産大学の助手だった頃、同校で取り組んでいた大豆の根粒の研究で、根粒を指でつぶすと出てくる赤い汁がヘモグロビンであることを初めて知り、植物にもヘモ... 続きを読むにほんブログ村
2020年3月18日 / 最終更新日時 : 2020年4月9日 Hiroshi Masuda 第1部 原始無生物環境における化学進化 23.モジュールとドメイン 天然タンパク質の構成単位として、モジュールやドメインなどの概念について述べておきたい。両者には明確な区別はなく、ともに遺伝子のエキソンと対応する構造と機能の単位である。アミノ酸残基数に違いがあるようで、モジュールは20~40個ほどの残基で、ドメインは通常50~200個ほどから構成される。遺伝子の関与が全くない原始前生物環境期では、短鎖ペプチド複合体形成過程の各段階を示しているにすぎず、いずれも固... 続きを読むにほんブログ村