生命の起源はいつの時代でも関心があったが、特に20世紀に入り物理学や化学や生物学などの自然科学に飛躍的な進展が見られ、誰でもがわくわくするような成果を与えてくれている。発展を伴いながら科学的立場で研究が進み、誰でもが興味をもつようになった。今世紀に入り、現在でも、生命の起源を求めて、最近ではわれわれがすむ太陽系惑星に関心がもたれ、次いで広大な銀河系に拡大され、ついには宇宙のすみずみまでその触手を拡大しつつある。このように、地球外生命体に関する華々しい研究成果をあげているが、地球上での生命の起源の研究は、一時「RNAワールド」仮説が隆盛をきわめたが、それをよく検討してみると、この仮説の欠陥が見え、「タンパク質ワールド」を信じる人たちが現れるようになった。私もそれを信じる一人である。
私はタンパク質という奇跡の物質がなければ生命の誕生はあり得なかったという考えに立ち、研究を進めてきた。その結果、生命の起源は徹頭徹尾タンパク質の構造と機能が基盤となった「タンパク質ワールド」仮説を基軸に展開してきたという結論に至った。このたび確信をもって本書を執筆しここに説く。
本書が今後の「タンパク質ワールド」研究の発展に少しでも寄与できればと切に願う。

 

2020年 3月 吉日

増 田 宏 志

三鷹の自宅にて

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